安楽律法流

宝林寺は天台宗安楽律法流の末寺で、本山は比叡山飯室谷別所にある安楽律院です。 
 飯室谷別所は、円戒の戒律道場と念仏三昧の霊場として平安時代には京極門院藤原定家卿も好んで往来した名勝で、『名月記』は当地で書き上げられたとされています。
 当寺で詠まれた定家卿の歌に

   ふむだにも えにしなるてふ この山の 

          土となる身は たのもしきかな 
 とあります。
 平安の名刹であった安楽律院が、天台宗史に登場するのは江戸中期になって、妙立大和尚、霊空大和尚、玄門大和尚の名僧が輩出し、近世天台宗を復興しようとして、伝教大師精神にたちかえる戒律復古運動の本拠としたことからで、天台座主管領宮より、【天台正宗】とする令旨を頂戴し、天台律宗とも称しました。
 安楽律院では秘法のへちま加持と土砂加持が厳修され、戒律の道場として法灯が継承されています。

土砂加持
本山安楽律院で貫首和尚により、春彼岸中日の三月二十一日(春分の日)につとめる法要で、聖所の土砂に秘法を加持し、精霊供養するとよいと伝えられ、先祖回向の法要となっています。


へ ち ま 加 持
本山安楽律院で貫首代和尚により、仲秋の名月にあたる旧暦八月十五日につとめられる法要で、へちまに秘法を加持します。 
 古来より、このへちまを家に持ち帰えって、四十九日の間、光明真言を唱えおつとめすると、喘息や諸病が治癒に向かい健康を得ると伝えられ、現世利益の法要となっています。