教え

天台宗の教え

天台宗は日本仏教の代表的な伝統宗団で、千二百年前に伝教大師最澄上人によって開宗されました。平成十八年は御正当の年にあたります。そこで天台宗では前後数年間の期間を定めて開宗千二百年大法会の記念事業を推進しています。国際社会のニーズに合わせて毎年8月4日には世界平和祈願の《平和の集い》や3月13日には《世界平和祈願大護摩供法要》を開催し、平素より平和を推進する活動を展開しております。社会奉仕団体としては《一隅を照らす運動》を推進し、社会に向けて如何に宗教的使命を全うすることができるのかを模索しています。
 伝統を守り威厳を保ちながら、現代に幸福の意義を共に分かち合うという精神が、天台宗の教えであります。《よく行ないよく言う》、《己を忘れて他を利する》、《一隅を照らす》など人材養成こそ、国の宝となると説いています。 

比叡山の教え

日本仏教の母なる山の比叡山は、伝教大師の開創された千二百年前から総合仏教の根本道場でありました。今に伝わる宗派を挙げると法然上人の浄土宗、親鸞聖人の浄土真宗、日蓮聖人の日蓮宗、栄西禅師の臨済宗、道元禅師の曹洞宗などがあります。人材養成の比叡山ではの歴史的事実と言えます。
 このような宗派は、比叡山の教えであります円・密・禅・戒・浄(念仏)の教義を単独に択び専門化し発展させたもので、その根本教義は伝教大師が入唐求法されて、比叡山にもちかえられたものでした。
 比叡山の名物に《論・湿・寒・貧》があります。
名物とはいっても食べることはできません。比叡山の特徴をよくあらわしているということです。論とは論議のことで、法華経をはじめとした学問を究めるということです。僧侶としての教養の高いことを意味しています。湿とは湿気ことで、比叡山は湿度の高い環境にあります。この湿度は人体に悪く昔は湿気と栄養失調により結核になる修行僧が多く、比叡山に上り三年健康であればそれ以後は修行がまっとうできるとされています。寒とは極寒ということで、寒いことは口で表現できません。この寒さに挑み勝つことが肝心です。貧とは貧乏のことで、経済的に裕福でないことです。修行僧として当然物欲にはしることなく、出世名聞などから離れ、心の豊かさを追求し、物質の豊かさを差し控えた教えです。
 このように比叡山の教えは、現代社会のどの分野においても、応用できる生きた教えといえるのです。